2020.11.05 [イベントレポート]
のん&橋本愛、7年ぶり共演で“魔法”を生み出した! 林遣都は「見たことのない自分」に遭遇
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舞台挨拶に立った(左から)橋本愛、のん、

芥川賞作家・綿矢りさ氏の小説を実写映画化した『私をくいとめて』が11月5日、第33回東京国際映画祭の「TOKYOプレミア2020」部門で上映された。上映前の舞台挨拶には、キャストののん、林遣都、橋本愛、大九明子監督が登壇した。

30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子(のん)の脳内には、相談役「A」がいた。人間関係や身の振り方に迷った時は、もうひとりの自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。「A」と一緒に平和なおひとりさまライフがずっと続くと思っていたある日、みつ子は年下の営業マン・多田くん(林)にうっかり恋をしてしまう。

のんは、みつ子役を演じたひと時を「楽しい時間でした」と表現しつつ「みつ子の痛みはどこにあるのかというのを、台本や原作を読んだりしながら探っていきました。原作を攻略本にして台本を読むような感じで(役を)解釈していきました」と述懐。役作りについては「みつ子が買いそうな雑誌――カフェ巡り、旅行雑誌などを購入して「これはみつ子好きそうだな」と(当てはまる箇所に)丸を付けたり、ドッグイヤーをして“おひとりさまを楽しむ”という実感をつかむ作業をしました」と明かしていた。

のんとの共演は、2013年に放送されたNHK連続テレビ小説以来7年ぶりとなった橋本。イタリアに嫁いだみつ子の親友・皐月役としての出演は、思い出深いものになったようだ。「初日がラストシーンの撮影。役どころの関係性がエンディングを迎えている頃なのに、久しぶり過ぎて、ヘラヘラしながら段取りをしてしまって……、全然段取りにならない(笑)。でも、その後に本読みをしたんですが、軽く読み合せただけなのに、物凄いスピードで2人の関係が埋まっていく実感があったんです。それが“魔法”だなと思いました」と振り返っていた。

一方、のんは「(共演は)めちゃくちゃ嬉しかった」と口火を切り「撮影前日は「明日は愛ちゃんとだ」とワクワクしていたんですが、実際に顔を合わせると恥ずかしくて、目を合わせられなかった」と告白。「数年ぶりに会ってみると、美しさが増している。ドキドキしちゃって呼吸がしづらかった(笑)。でも、愛ちゃんが本読みに誘ってくれて、みつ子と皐月として心を通わせることができました。愛ちゃんと演技をするという状況が自然なことでした。何も不自然なこともなくて、何も抵抗がない――すごく楽しかったです」と充実の面持ちを浮かべていた。

のんと初タッグとなった林は「普段の穏やかな印象から、お芝居が始まると、目の色から変わる。吸引力のようなものがあって、常にそこに突き動かされていました。大事に大事に、細かい瞬間を共有できている感覚があって楽しかったです」と胸中を吐露。自らの役どころについては「原作の内容からは膨らんでいて、設定などは僕からかけ離れたもの――新たに作っていかなきゃなという思いがあったんですが、脚本にはなかなかヒントが少ない。自分なりに想像して膨らませていった」と説明する。

そして「大九監督の演出を楽しみたいという思いで現場にいたんですが、監督は自分の浅はかな想像を超えた演出をされていました。それが毎日のように飛んでくる」と語った林。「「もっともっと監督の演出のもとで演じたい!」という思いがピークに達したところで、撮影が終わってしまったんです……。僕はもっと色々やりたい」と不完全燃焼だったようだ。しかし「映像を見た時、間違いなく“見たことのない自分”がいた気がしたので、それがとても嬉しかったです」と自信をにじませていた。

第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催。『私をくいとめて』は、12月18日に全国公開。
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