2020.11.05 [イベントレポート]
水原希子、門脇麦が見せた表情に「引き込まれちゃいました」 高良健吾も女優陣を絶賛
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門脇麦&水原希子&高良健吾、互いをべた褒め

第33回東京国際映画祭の特別招待作品『あのこは貴族』が11月5日、東京・EXシアター六本木で上映され、門脇麦、水原希子、高良健吾、メガホンをとった岨手由貴子監督が舞台挨拶に登壇した。

東京の異なる環境で生きるふたりの女性を描いた、山内マリコ氏(『アズミ・ハルコは行方不明』『ここは退屈迎えに来て』)の同名小説が原作。門脇が東京で生まれた箱入り娘・華子、水原が自力で都会を生き抜く地方出身の美紀、高良がふたりをつなぐ良家の弁護士・幸一郎を演じる。

岨手監督は撮影を振り返り、「ここにいるお三方と、石橋静河さん、山下リオさんは、キャラクターも役に対するアプローチも、5人全員違っていました」と明かし、それぞれ異なる演出で向き合ったという。「脚本で設計したキャラクターからどんどんずれていって。脚本上では想像できなかった感情の機微を、皆さんの方から言ってくださって、完成形のキャラクターができあがった印象があります。編集してみたら、本当に生き生きした人物になっていて。「役者さんが演じることによって命が吹き込まれた」と、言葉では聞いたことがあったけれど、ここまで実感させられた経験は初めてでした」と、充実感をにじませた。

その言葉通り、それぞれ異なる役づくりで、リアリティを追求したキャスト陣。門脇は「原作を読んだ時から、“典型的なお嬢様”という役にはしたくないなという思いがありました。山内さんの地の文がすごく魅力的で、キュートさがつまっているので、その魅力をキャラクターに入れることができればと思い、その部分でとても試行錯誤しました」と語る。水原は「美紀ちゃんは大学入学のために田舎から東京に出てきて、いろんな葛藤を乗り越えて強く生きている女性。当時、私自身が起業したこともあって、すごく役とリンクするように感じました」と思いを馳せた。

華子の話が中心の前半、美紀を軸に進む後半を経て、ふたりが出会い、物語は大きく展開していく。共演シーンは少なかったという門脇&水原は、それぞれお互いの印象を述べる。門脇は「希子ちゃんがすごく軽やかな方なので、美紀のパートは伸びがある雰囲気になっていると思います。希子ちゃんが演じる美紀が、最高にかわいくてかっこよくて、素敵です」とべた褒め。対する水原も、「華子は本当に固い世界で生きている。最初にタイトルが出てくるシーンの華子が、何とも言えない表情をしていて、あれだけで引き込まれちゃいました。「麦ちゃんかっこいいな」って」と、こちらも賛辞をおくった。

続いて高良は、「自分は地方出身で、自分で(道を)探していかなきゃいけなかったけれど、幸一郎は生まれながらに一流のものが用意されている人。その生きづらさは、分からない部分もあったんですが、演じていて、この人が持つ葛藤があるんだろうなと思いました」と述懐。互いを褒め合う門脇&水原に乗っかる形で、「女性陣が本当にかわいいし、かっこいいですよ。ね?」と問いかけ、ふたりを照れさせていた。

最後に門脇は、作品を「解放の物語」と紐解く。「人は学生生活や社会人生活を送って、自分のことを無意識にカテゴライズしてしまう部分があると思います。でも少し角度を変えてみたり、新しい出会いをしたりすると、視界が開けたり、もっと自分のことを好きになれると思います。そうした、たくさんちりばめられている要素を、ちゃんと見つけてあげられれば、人生がちょっと良くなるかもしれない……、という映画になっています」と、力強く締めくくった。

『あのこは貴族』は、2021年2月26日から全国公開。第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催される。
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