2020.11.03 [イベントレポート]
水川あさみ、主演映画『滑走路』は「寄り添って肩を組んでくれる映画」
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昨年に続き東京国際映画祭に参加した水川あさみ(中央右)

女優の水川あさみ主演の『滑走路』が11月3日、第33回東京国際映画祭の「特別招待作品」としてプレミア上映された。水川は共演の浅香航大、寄川歌太、大庭功睦監督とともに舞台挨拶。昨年のコンペティション部門で観客賞を受賞した『喜劇 愛妻物語』に続く2年連続の参加に、「今年もこの場に立ててうれしく思います」と笑顔をはじけさせた。

32歳で命を絶った歌人・萩原慎一郎氏が唯一残した同名の歌集を基に、非正規雇用やいじめ、自死などそれぞれの悩みを抱えた人々を描く群像劇。大庭監督は、「この3人の俳優が素晴らしい芝居を見せてくれている。それを堪能するだけで見る価値があるので、目に焼き付けてほしい」と言葉に力を込めた。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中で編集作業を行い、「人と人との物理的、精神的な距離を取らざるを得ない状況ですが、ダビングをしている時に誰かが誰かの手を握る、抱き合うという距離がゼロになる瞬間があった。ドキッとしたが、表現というものはそういうことを描き続けてきたと改めて思った。その尊さを感じる貴重な機会のありがたみを感じてほしい」と力説。すると水川が無言ながら親指を立てるポーズで称賛を表した。

その水川も、「もしこのまま距離を保った世の中が続くと思うと心が折れそうになる。ソーシャルディスタンスが当たり前になることを受け入れるのは怖いと思いながら生きている部分もある。そんな時にこの映画が転がるように私の下に来てくれた」と述懐。大庭監督の“サムアップ返し”を受け、「人にとっての豊かさ、幸福が見えにくい時代ですが、人を救うのは人だという気持ちになってもらえたら。背中を押すというよりは、寄り添って肩を組んでくれるような映画です」と訴えた。

『滑走路』は11月20日公開。第33回東京国際映画祭は11月9日まで開催。
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