森山未來(左)と勝地涼
第33回東京国際映画祭の「オープニング作品」&「TOKYOプレミア2020」部門に出品された『
アンダードッグ』が11月1日、東京・EXシアター六本木で上映され、キャストの森山未來、勝地涼、武正晴監督が舞台挨拶に出席した。
武監督だけでなく、『百円の恋』の脚本家・足立紳、同作のプロデューサー、音楽、撮影、照明、美術が再結集した本作。“咬ませ犬”として踏み台にされながらも這い上がろうともがく崖っぷちボクサー・末永晃(森山)、児童養護施設で晃と出会いボクシングに目覚める大村龍太(北村匠海)、テレビ番組の企画でボクシングの試合に挑む宮木瞬(勝地)のドラマが、リング上で交錯していく。
気迫に満ちた試合シーンについて質問が投げかけられると「実質、そんなに2人で練習ができたわけではなかった」と前置きした森山。「リングに上がり、お客さんの声援を浴び、アドレナリンを感じながら、宮木をボコる。勝地とは長い付き合いなので、段取りを確認しながらやりました。試合はテンションが上がるんですが、そういう時こそ、冷静に、クールにやらなければならない。そういう点を意識しつつ、コミュニケーションをとりながらやっていました」と振り返っていた。
一方、勝地は「宮木はやられる場面が多い役だったので、自分自身が「何手終わった後に、こうやられる」と意識していたとしても、ガードしているうちに、今何が起きているのかわからなくなるんです」と明かす。「その辺は未來君に「次、なんだっけ?」と正直に聞いていました。腹に殴られた後に顔――そういうきっかけを覚えるようにして、あとは未來君に引っ張ってもらいました。ある程度、実際に当てているものもある。信頼も込めて、がっつり殴ってくれていました。そこに関しては、小さい声で「痛い」と伝えていました(笑)」と打ち明けていた。
この日は、登壇が叶わなかった北村からサプライズで質問が届いた。武監督への質問は「映画を撮ろうと思ったきっかけ」というもの。「最初の映画の現場で仕事をした際、素晴らしい監督たちを目の前にして「監督という仕事には一生つけない」と思ったんです。助監督を15年位やったんですが、「このまま監督になれないと、辛いまま終わる」と感じたんです。悪い言い方をすると、終わってたまりたくない。そういう積み重ねを経て、何か映画を撮りたいなと。やがて映画を撮るんですが、「では、何を撮るのか」という点を、今も考え続けています」と切り返していた。
森山への問いかけは「人生における生きがい」というものだった。「以前から思い、コロナ禍以降、余計に強く感じていることがあります」と口火を切った森山。「僕たちは表現をしたいという思い、そしてお客さんもそれを体感、経験したいという欲求があるということを、改めて再確認しています。こちらで提示した表現は、お客さんがいないと、作品として完結できない。完結した後、お客さんの世界観、価値観が少し膨らんだり、ズレたりといった“良い変化”があると、それが僕自身の一番の喜びになると思っています」と思いの丈を述べていた。
「撮影が終わった後の“ご褒美飯”は?」という質問を受けた勝地は「俺だけ質問浅くない? おい、匠海!」とクレームを入れて、場内の爆笑をかっさらった。やがて、国際映画祭ではお馴染みの同時通訳に絡めて「アイ・イート・つけ麺。ジャパニーズつけ麺」と回答。続けて、森山が同様の質問に対して「試合の撮影が終わった後の“乾杯”。食べ物の内容というよりは、時間を共有できたことがご褒美だった」と答えると、「何それ……すごく良いコメントするじゃん」と悔しさをにじませ、再び笑いを誘っていた。
第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催。『アンダードッグ』は前編、後編として、11月27日から東京・ホワイトシネクイントほかで全国公開。
森山未來(左)と勝地涼
第33回東京国際映画祭の「オープニング作品」&「TOKYOプレミア2020」部門に出品された『
アンダードッグ』が11月1日、東京・EXシアター六本木で上映され、キャストの森山未來、勝地涼、武正晴監督が舞台挨拶に出席した。
武監督だけでなく、『百円の恋』の脚本家・足立紳、同作のプロデューサー、音楽、撮影、照明、美術が再結集した本作。“咬ませ犬”として踏み台にされながらも這い上がろうともがく崖っぷちボクサー・末永晃(森山)、児童養護施設で晃と出会いボクシングに目覚める大村龍太(北村匠海)、テレビ番組の企画でボクシングの試合に挑む宮木瞬(勝地)のドラマが、リング上で交錯していく。
気迫に満ちた試合シーンについて質問が投げかけられると「実質、そんなに2人で練習ができたわけではなかった」と前置きした森山。「リングに上がり、お客さんの声援を浴び、アドレナリンを感じながら、宮木をボコる。勝地とは長い付き合いなので、段取りを確認しながらやりました。試合はテンションが上がるんですが、そういう時こそ、冷静に、クールにやらなければならない。そういう点を意識しつつ、コミュニケーションをとりながらやっていました」と振り返っていた。
一方、勝地は「宮木はやられる場面が多い役だったので、自分自身が「何手終わった後に、こうやられる」と意識していたとしても、ガードしているうちに、今何が起きているのかわからなくなるんです」と明かす。「その辺は未來君に「次、なんだっけ?」と正直に聞いていました。腹に殴られた後に顔――そういうきっかけを覚えるようにして、あとは未來君に引っ張ってもらいました。ある程度、実際に当てているものもある。信頼も込めて、がっつり殴ってくれていました。そこに関しては、小さい声で「痛い」と伝えていました(笑)」と打ち明けていた。
この日は、登壇が叶わなかった北村からサプライズで質問が届いた。武監督への質問は「映画を撮ろうと思ったきっかけ」というもの。「最初の映画の現場で仕事をした際、素晴らしい監督たちを目の前にして「監督という仕事には一生つけない」と思ったんです。助監督を15年位やったんですが、「このまま監督になれないと、辛いまま終わる」と感じたんです。悪い言い方をすると、終わってたまりたくない。そういう積み重ねを経て、何か映画を撮りたいなと。やがて映画を撮るんですが、「では、何を撮るのか」という点を、今も考え続けています」と切り返していた。
森山への問いかけは「人生における生きがい」というものだった。「以前から思い、コロナ禍以降、余計に強く感じていることがあります」と口火を切った森山。「僕たちは表現をしたいという思い、そしてお客さんもそれを体感、経験したいという欲求があるということを、改めて再確認しています。こちらで提示した表現は、お客さんがいないと、作品として完結できない。完結した後、お客さんの世界観、価値観が少し膨らんだり、ズレたりといった“良い変化”があると、それが僕自身の一番の喜びになると思っています」と思いの丈を述べていた。
「撮影が終わった後の“ご褒美飯”は?」という質問を受けた勝地は「俺だけ質問浅くない? おい、匠海!」とクレームを入れて、場内の爆笑をかっさらった。やがて、国際映画祭ではお馴染みの同時通訳に絡めて「アイ・イート・つけ麺。ジャパニーズつけ麺」と回答。続けて、森山が同様の質問に対して「試合の撮影が終わった後の“乾杯”。食べ物の内容というよりは、時間を共有できたことがご褒美だった」と答えると、「何それ……すごく良いコメントするじゃん」と悔しさをにじませ、再び笑いを誘っていた。
第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催。『アンダードッグ』は前編、後編として、11月27日から東京・ホワイトシネクイントほかで全国公開。