2020.11.02 [イベントレポート]
時代劇オタク演じた伊藤万理華、勝新太郎さんの居合抜きをリスペクト 金子大地と殺陣を猛練習
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SF要素を織り交ぜながら描いた青春映画『サマーフィルムにのって』

第33回東京国際映画祭の「特別招待作品」『サマーフィルムにのって』が11月2日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、元「乃木坂46」の伊藤万理華、金子大地、メガホンをとった松本壮史監督が舞台挨拶を行った。冒頭で伊藤は、「映画祭という憧れの場所に、こんなに早く立てて嬉しいです」と喜びを明かした。

時代劇を溺愛する女子高生・ハダシ(伊藤)を軸に、SF要素を織り交ぜながら描く青春映画。ハダシは高校の映画部に所属しているが、趣味とは真逆のキラキラ青春ラブストーリーばかり制作する現状に落胆している。ある日、理想とする武士役にぴったりの凛太郎(金子)と出会ったことをきっかけに、親友たちを巻き込み時代劇の制作に奔走。文化祭で上映するべくひと夏の映画作りに熱中するハダシだったが、実は凛太郎はタイムトラベルしてきた未来人だった。

青春、恋愛、時代劇、SF、友情など、様々な要素がつめこまれた本作。着想のきっかけを問われた松本監督は、「青春映画を撮ろうというところから始まって、部活ものにしよう、映画を作る話にしようと考えました。そして映画の題材を考えたときに、ロマンポルノという候補もあったんですが(笑)、時代劇にすると矢印が過去に向かって面白いかなと思い、青春とSFという2大柱ができました」と解説した。

物語のカギを握る時代劇について、伊藤は「この作品を機に、ハダシとしていろんな作品を見ようと思いました。見てみたら、ずっと色褪せない、私の世代でも楽しめるエンタメもあるし、ラブストーリーもあるし……。だからハダシがこんなに惚れこんで、オタクになっちゃったんだなと分かりました。勝新(勝新太郎さん)の『座頭市』、しびれるな……、とか、そういう見方をするようになっていましたね」と語る。演じた役同様、すっかり時代劇の虜となった様子だった。

殺陣に初挑戦したという金子は、「伊藤さんと一緒に、すごく練習したよね?」と問いかける。伊藤は「本読みの後、すぐに練習に取りかかりました。金子さんが合わせてくださったので、何とかできました」としみじみ。そんなふたりの殺陣を、松本監督は「どちらもセンスがあって。伊藤さんはもともとダンスが上手だということは知っていましたが、金子くんも身のこなしが軽くて、すぐにできていました」と絶賛する。伊藤は「勝新の居合抜きを、ものすごく研究しました。これから作品を見る方の中にも、「時代劇が好き」「勝新が好き」という方がいらっしゃると思うんですよ。そういう方たちにも納得して頂ける動きになればいいなと、ポーズだけでも頑張って研究しました」と、努力をのぞかせた。

撮影は寒い時期に行われたが、カメラが回る前にスタッフが「7月!」などと叫び、キャストたちに夏の物語であることを思い出させていたという。そんな過酷な面とは裏腹に、現場は和気あいあいとした雰囲気だったようで、伊藤は「(キャストたちが)本当に仲良くならないと、画面で伝わらないと思ったので、最初は人見知りしていましたが、自分から話しかけにいきました。皆が作品を愛してくれていたので、同じ気持ちになって仲良くできました」とニッコリ。金子は「僕は逆に、未来から来た人なのに「馴染み過ぎだ」と怒られました」と暴露し、会場は笑いに包まれた。

第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催。
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