2020.11.08 [イベントレポート]
森崎ウィン&土村芳『本気のしるし』で深田監督特集締めくくり 今作はハッピーエンド?
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深田晃司監督(右)、土村芳と森崎ウィン

深田晃司監督の最新作『本気のしるし』が11月8日夜、第33回東京国際映画祭が開催中の東京・六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、深田監督、出演の森崎ウィン&土村芳がQ&Aに登壇した。

特集上映「Japan Now 気鋭の表現者 深田晃司」の1本で、名古屋の地方局「メ~テレ」製作の連続ドラマを再編集した劇場版。第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出された。228分の大長編に、深田監督は「皆さん、まずはお疲れ様でした。出て行った人もいる、と思ったけど、トイレでした」と笑い。

原作は星里もちる氏の同名コミック。職場の二人の女性(石橋けい、福永朱梨)とあいまいな関係を続ける主人公・辻(森崎ウィン)がある日、その場しのぎの嘘ばかりをつくヒロイン、浮世(土村芳)と出会ったことから、思わぬ転落人生を歩むことに……というラブサスペンスだ。

主演の2人はオーディションで役を勝ち取った。森崎は「台本をいただいた時は、はてなマークが続いた。辻君は優柔不断だが、僕は物事をスパスパ決めるタイプなので、自分の役に対して突っ込んでしまった」。土村も自分が演じる浮世役に「最初は違和感しかなかったですが、興味をそそられるキャラクターでした。プレッシャー半分、ワクワク半分でした」と振り返った。

Q&Aでは、主演の2人に「自分の中の辻、浮世の部分は?」と聞かれると、森崎は「辻は周りを巻き込んでいくんですけど、どこか心細い時がある。そんな時は演じようとしているのではなく、森崎ウィンが漏れてくる」、土村は「形は違えど、不器用なところ。似ているとはいいたくないけれども」と苦笑いを浮かべていた。

映像化に当たっては、ロバート・アルトマン監督がレイモンド・チャンドラーの代表作を映画化した『ロング・グッドバイ』を参考にしたそうで、深田監督は「撮影前に主演の2人と一緒に見た。偶然にもいくつかシチュエーションが似ているところがある」と見どころを解説。司会から「深田監督作品には珍しく、希望のあるエンディングに見えるが」と聞かれると、「原作の漫画はもっとハッピーエンドです。アフタートークで観客に聞くと、ハッピーエンドか、アンハッピーエンドかの解釈は半々に分かれます」と明かした。

本作が特集上映の最後を飾る作品。深田監督は今後について、「コロナ禍の中、生き方が問われている。そんな時代だからこそ不要不急の文化は大切。そんなことを思いながら、コツコツと映画を作っていきたい」と映画への思いを新たにしていた。

第33回東京国際映画祭は11月9日まで、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン日比谷ほかで開催される。
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