11/8(日) ジャパニーズ・アニメーション部門『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』上映前、ジャパニーズ・アニメーション部門プログラミングアドバイザーの藤津亮太さんと、ぺんぎん?(着ぐるみ)をお迎えし、舞台挨拶が行われました。
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藤津亮太PA(以下、藤津PA):「ジャパニーズ・アニメーション」部門プログラミングアドバイザーの藤津亮太です。今日はよろしくお願いいたします。
司会:では早速、藤津先生にこの作品の魅力をお伺いしていきましょう。藤津先生、公開当時、劇場ではご覧になられましたか。
藤津PA:公開されてすぐ、大変な評判になっていたので観に行きました。
司会:その時のご感想はいかがでしたか。
藤津PA:すごくおもしろかったです。まんきゅう監督って、やっぱりギャグのイメージが強かったんですけれど、すごく可愛い、素敵な感じで、『どーにゃつ』とか、可愛いものもやられているんですけど、僕はギャグものの印象が強かったので、すごく可愛くて。噂通り泣ける話だなと思いました。
司会:具体的にどのようなところが魅力的だなと思われたのでしょうか。
藤津PA:この作品は絵本の中にすみっコぐらしのキャラクターたちが入るというお話なんですけれど、絵本の世界が、世界ごとにちゃんと背景が描き分けられていて、桃太郎の世界だったら、筆で書かれたようなタッチで、波も浮世絵みたいな感じで描かれているし、赤ずきんちゃんの世界に行くと、また絵のスタイルが変わっていて、そこがすごく魅力だなと思いましたね。あとは、キャラクターが可愛い。3DCGで描かれていて、その中で柔らかさ、ポヨンと落ちたりぶつかったりするときに、プルンとなる感じがあって、そこがすごく可愛いなと思いました。
司会:3DCGで柔らかさを出すということは結構難しいことなんでしょうか。
藤津PA:難しいというより、意識しないとそうならないものだと思うんですよね。あと、ちょっと細かな話なんですけれども、手がすごく可愛いんですよね、すみっコぐらしのキャラクターって。手のお芝居。でも、手が短いので、本物がそうなるとしたら、あんなに可愛くはならないはずなんですよ。動く範囲が限られるので。ということはあれはすごく工夫して、絵としてかっこよく、可愛く見えるように工夫をされているなという感じがしました。
司会:なるほど、そういった細かな作りがあって、公開当時、大人も泣ける映画と大変話題になりましたが、その点についてはいかがですか。
藤津PA:上映前の話なのであまり言えないのですが、キャラクターの魅力っていうのは、特に映画って、何かないものを探しに行くキャラクターが主人公になることが多いんですね。その何かないもの、自分の中に足りないものを探していくっていうのが、すごく『すみっコぐらし』の世界と噛み合うように解釈されてお話が作られていたので、そこは大人も泣いたというのはその通りだなと思いました。
司会:先生はご覧になられたときはちょっと涙されましたか。
藤津PA:そうですね、ちょっと恥ずかしいので答えにくいんですけど、大人の方が逆に、身につまされるじゃないですけど…ですし、子供さんが観てもグッとくるという、両方の側面でグッとくる映画になっているかなと思いました。
司会:この映画の中で、藤津先生の好きなキャラクターや、好きなシーンがありましたら、上映前ですが。
藤津PA:そうですね、これは何回かBlu-rayを観直して気がついたところなんですけど、たぴおかというちっちゃい丸いキャラクターがいるんですけれど、作中のあるシーンで、3体たぴおかがいるところで、青いたぴおかだけ、周りは「大変だ!」って慌てているんですけど、1匹だけパラパラを踊っているやつがいてですね、これ、気が付くと、そのマイペースぶりがだんだんじわじわくるので、皆さんご覧になって気が付いたら楽しいんじゃないかなというのが一つ。あと、作中でしろくまというキャラクターがマッチ売りの少女の世界に行くんですけど、寒いのでマッチを擦ると、色んなあったかい食べ物を見るといういわゆる「天丼」という繰り返しのギャグになっていて、そこも楽しく笑いましたね。あとはやっぱり、今回の中心にいるぺんぎん?、これ、最後疑問形で言わないといけないのかなっていつも思うんですけど、ぺんぎん?が今回のゲストキャラクターのひよこ?と会ったときに、「迷子、自分探し、友達」みたいな感じで自分と共感できる要素があるんだなと気が付くところは、セリフを基本的には喋らなくて、字幕とナレーションでフォローするタイプのキャラクターなので、そんなに複雑なことを説明できないんですけど、一発でこのお話がどこへ向かっていくのか説明していて、そこはすごく印象的に思いましたね。